深海魚みたいに夜を潜る、孤独はどうしようもなく深いから
中野裕友
10/7 2022 15:14
今回もまた、彼らは往々にして表参道のカフェの類について語るであろう。そんな予想を遥かに超えて、敗北を知ることになった。
—— 沖縄でのスキューバダイビング について
… あぁ。敗北。それも圧倒的、敗北である。
敗北、疎外感、I’m indifferent…
相手の話はまだ続いていたが、十分に耳を傾けることはせずに静かに想像した。沖縄に行けば必ず台風が直撃する。そんな理不尽すぎる妄想は相手が話を終えても続いた。
その想像の間は、両者は静かな沈黙の中にあった。ほんのわずかな時間にすぎない沈黙であった。
沈黙を超えて、深海魚が夜を泳ぐ。夜を潜ったことはあるか?自分は沖縄の海を泳いだことはないのだけれど。孤独はどうしようもなく深いんだ。
いまはただ、この瞬間の敗北を知りたい。
相手はおもむろにハンドクリームをとり出していた。甘く、フローラルな香りが鼻腔をくすぐる。オキシトシンが香るなら、匂いはこれがいいな。
オレは、相手が待ってくれていること、そして、その沈黙に静かに感謝した。
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