自転車競技には主に公道や、クローズド・サーキットなどで行われるロードレースと、バンクと呼ばれる自転車競技場でのトラックレースがあります。

ロードレースでは登坂を楽にするため軽量でギアが変速可能なロードバイクを使用します。一方でトラックレースでは、ピストバイクを使用します。ブレーキはついておらず、変速不能な固定ギアを競技に応じて選択します。

●ロードレース


ロードレース


ツール・ド・フランスのような長距離レースです。30㎞~150km程度の距離を平均速度40km以上で駆け抜けます。

選手には長距離を走りぬくスタミナや、レースに勝つための力を温存させる戦略など、多くの力が問われます。

多くのレースで途中に補給ポイントが設けられており、選手が走行したままマネージャーが水や補給食を手渡します。

クリテリウム


主に平坦のみのコースで、距離は10㎞~30㎞程度の中距離レースです。

直角コーナーが設けられているコースが多く、集団が縦に伸びきるので集団内での位置取りが重要になってきます。

最後まで少人数で逃げ切って勝負を決めるか、集団内で勝負をするかなど、中距離ならではの戦術面も重要になります。

ヒルクライム

5㎞程度の急な坂を駆け登るレースです。ほかの選手に気を取られてペースを乱したりせず、余計な力を使わずにうまく走りきることが必要です。

タイムトライアル


平坦コースでタイムを競います。個人では30㎞~50㎞程度のレースになります。

1人で長い距離を走らなければならないので、長時間耐えるギリギリのペースで走り抜けることが必要です。

チームタイムトライアルでは例年60kmほどを走ってタイムを競います。

選手が縦一列に並び、空気抵抗を低減しながら先頭交替を行うことで、疲労を分散します。入念な準備でチームメンバーの脚をそろえることが必要です。

トラックレース


トラックレースはすり鉢状の競技場で様々な種目の競技を行います。おもに短距離種目と、中長距離種目に分かれます。


―――短距離種目―――

・1kmTT

1kmTT(TT)


その名の通り1kmのタイムを競います。

わずか1分数秒ですが、その短時間の間に出せるパワーを出し尽くすので非常にスピード感ある走りが魅力です。

・スプリント

スプリント(SP)


スプリントは短距離の対戦競技で一対一の勝ち上がりトーナメント式で行われ、非常に熱い戦いが繰り広げられます。

選手同士の駆け引きや、パワー全開でのトップスピード勝負が魅力です。

・ケイリン

ケイリン(KR)


最大7人の選手がペーサーの先導のもと時速50kmまで加速し、そこから勝負が開始されます。

選手たちは細心の注意を払って周囲の選手の動きを伺い、自分の有利なところで勝負を仕掛けます。

ラスト1周では鐘が鳴り、レースの最終局面は見逃せません。

・チームスプリント

チームスプリント(TSP)


1チーム3人の選手が出走し、計3周を1周走るごとに先頭を走る選手が抜けていき、最後の一人がゴールした時点でのタイムを競います。

スタートダッシュの第1走、トップスピードの第2走、持久力のある第3走がそれぞれの力を合わせて戦います。

・タンデム・スプリント

タンデム・スプリント


2人乗りの自転車でスプリント競技を行います。

後ろの選手が牽制を行い、前の選手が自転車をコントロールしますが、通常の自転車に比べて小回りが利かないので大回りになってしまわないような走行技術も必要です。

国内選手権では、大学生の試合でのみ見ることのできる種目になります。

―――中長距離種目―――


・オムニアム

オムニアムでは1日でスクラッチ、テンポレース、エリミネーション、ポイントレースの計4レースがこの順に行われ、その合計ポイントで競います。

*スクラッチ
ルールはいたってシンプルで、1着でゴールした人が勝者となります。

1人で長い距離先行するか、最後に集団でスプリント勝負に持ち込むか、など選手の駆け引きが魅力です。

*テンポレース
5周目から各周1着に1ポイントが与えられます。集団を飛び出してラップ(1周追い抜き)を成立させると20ポイント獲得できます。次々にくるポイント周回でポイントを獲得するのは至難の業です。
*エリミネーション
1周ごと、もしくは2周ごとに最後尾の選手がエリミネート(除外)されていき、最後に残った2人で一対一勝負となります。長く走るスタミナや、エリミネートされない位置取りなどが重要になります。

*ポイントレース

10周回ごとに1位から4位に5点、3点、2点、1点が与えられます。最後のゴール着順ではポイントが倍になり、ゴール時点での獲得ポイントを競います。ポイントを獲得することも重要ですが、ラップ(1周追い抜き)で一気に20ポイントを獲得し最後の大逆転を狙う選手もいます。最後まで展開が分からず、非常に白熱したレースとなることが多いです。


・個人パシュート

個人パシュート(IP)


男子は4kmのタイムを競い、より早いタイムで走り切ったほうが勝ちとなります。

最初に飛ばしすぎると後半でタイムを落とすことがあるので、ペースを保つためにもマネージャーがラップタイムを選手に伝えます。


・マディソン

マディソン(MD)


1チーム2人が出走し、迫力のあるハンドスリング(選手を投げる)を駆使しながら交替で1人が休み、1人がレースを進めていきます。

ルールはポイントレースと同じですが、レース中に交替をすることで常にハイスピードなレースが行われます。

・チームパシュート

チームパシュート(TP)


1チーム4人が出走して4㎞のタイムを競います。

空気抵抗を減らすために一列になって走り、先頭の選手が交替を行うことで空気抵抗を分散し、協力してトップスピードを維持します。

平均時速55kmでの先頭交替は大胆かつ繊細で、技術が問われます。

PAGE TOP