空論力

引力と斥力は表裏一体。

――意味を求めて無意味なものが無い。それはムード。とろけそうな。(『空洞です』)――
 

p.s.

物事の意味を無くそうと思う。意味を無くすってどういう意味?と思ったあなた達はもれなく意味に囚われている。とは言え意味を無くすことにもそれなりの意味を持たせなければならないのがこの国の慣わし。意味を無くすにはまず意味の意味を知る必要がある。意味って何だ。意味、意味、意味……。わからない。ちょっと気を緩めた隙に循環論法の足音が近づいて来る。元々意味に意味なんて無いのか?循環論法って何?生きる意味、行動する意味。意味、意味。そろそろ意味がゲシュタルト崩壊してきた。ゲシュタルト崩壊ってどういう意味?もう、意味がわからない。

意味と二人で食事に行った。どっちが誘ったか、そんなことはどうだって良い。向かい合ってビール片手に焼き鳥。最高のひととき。店の奥で、大学生4人と30代後半の女性が仲良さそうに呑んでいた。それを見て意味は、彼らの関係性への疑問を口にした。いかにもあいつらしい。若い教授と学生たち。否、バイト先の飲み会。否々教育熱心なヤンママと4兄弟………。こんな他愛も無い会話だっていとおしい。確か意味の方から誘ってきたんだ。あいつはそういう奴だった。

陰と陽。生と死。意味と無意味。相反する二項の間で世界は揺れ動いている。ミイラ取りがミイラになるような世の中だから。

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